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「安物買いの銭失い」はルーターでも真実!コスパ重視で選んだ私が後悔した4つの理由

移住先での苦い経験から学んだルーター選びの真実

新しい場所に引っ越した時の話をさせてください。移住の準備で出費がかさみ、どうしても節約したかった私は、「とりあえず動けばいい」という気持ちで安いWi-Fiルーターを購入しました。価格は確か4000円程度だったでしょうか。

その時の私は、まさか後になってその3倍以上の出費を強いられることになるとは思いもしませんでした。

現在2025年、Wi-Fi 6・6Eは、最新規格のWi-Fi 7の登場により、価格が少しずつ下がっている傾向があります。しかし、価格だけで選ぶと痛い目を見るのは今も昔も変わりません。

今回は、私の実体験を交えながら、安いルーターが長期的にコスト高になる4つの理由を詳しく解説します。

最新のルーター事情:2025年のトレンドを押さえよう

まずは現在のルーター市場の状況を確認しましょう。2025年6月現在、Wi-Fi 7対応のWi-Fiホームルーターが注目を集めており、10Gbps WANポート+メッシュ中継機能を搭載したモデルが人気です。

現在のWi-Fi規格別価格帯

  • Wi-Fi 5(旧規格): 3,000〜8,000円
  • Wi-Fi 6: 8,000〜20,000円
  • Wi-Fi 6E: 15,000〜35,000円
  • Wi-Fi 7: 20,000〜80,000円

TP-LinkのArcher BE550/Aなど、最新のWiFi 7規格に対応した高性能ルーターでは、トライバンド方式を採用し、6GHz帯で5760Mbps、5GHz帯で2880Mbps、2.4GHz帯で574Mbpsの高速通信を実現するモデルも登場しています。

しかし、価格差だけを見て「安いもので十分」と考えるのは危険です。私が移住先で経験したように、安物買いの銭失いになる可能性が高いのです。

理由1:セキュリティ脆弱性が招く深刻なリスク

サポート終了の恐怖

私が移住先で購入した安いルーターは、購入から2年でファームウェアのアップデートが停止しました。当時は「動いているから大丈夫」と軽く考えていましたが、これが最初の間違いでした。

サポート期間の目安

  • 格安ルーター:1〜2年
  • 中級ルーター:3〜5年
  • 高級ルーター:5年以上

古いセキュリティプロトコルの危険性

2018年にWPA3が導入され、Wi-Fiルータのセキュリティにも気を配る必要がありますという認識が広まりました。しかし、安いルーターの多くは旧式のWPA2にしか対応していません。

私の実体験: 移住先のアパートで、隣人が私のWi-Fiにただ乗りしていることが判明しました。WPA2の脆弱性を突かれた結果、パスワードが破られていたのです。セキュリティソフトで検知するまで3ヶ月間、知らない間に帯域を食われ続けていました。

セキュリティ侵害の実際のコスト

セキュリティ侵害を受けた場合の損失:

  • データ復旧費用:5万〜20万円
  • システム再構築:10万〜50万円
  • 業務停止による機会損失:計算不可能
  • 信用失墜による長期的影響:計算不可能

理由2:帯域幅不足で早期買い替えが必要に

「十分」の基準が変わる速度

基本的な選択肢としては性能のバランスが良いWi-Fi 6・6Eのルーターがおすすめですとされていますが、安いルーターはWi-Fi 5や古いWi-Fi 6モデルがほとんどです。

理論値と実測値の違い

  • 格安Wi-Fi 6ルーター(理論値1200Mbps)→ 実測値200Mbps
  • 中級Wi-Fi 6Eルーター(理論値5400Mbps)→ 実測値800Mbps

私の失敗例:リモートワークでの限界

コロナ禍でリモートワークが始まった時、安いルーターの限界を痛感しました。Zoomミーティング中に家族がNetflixを見始めると、画面がカクカクになり、音声が途切れる始末。

同時接続台数の現実

  • 格安ルーター:実質5〜8台
  • 中級ルーター:10〜20台
  • 高級ルーター:30台以上

現代の一般家庭では、スマホ4台、PC2台、タブレット2台、テレビ、ゲーム機、スマートスピーカー、IoT機器など、軽く15台以上の機器がWi-Fiに接続されています。

早期買い替えによる追加コスト

結局、私は以下の出費を余儀なくされました:

  • 初回購入:約7,500円
  • 2年後買い替え:約18,000円
  • 合計:約25,500円

最初から中級ルーターを買っていれば約15,000円で済んだはずです。10,500円の無駄な出費でした。

理由3:最新スマートホーム規格への対応不足

MatterとThreadの重要性

2025年現在、スマートホーム業界では大きな変革が起きています。MatterやThreadといった、ますますデファクトスタンダードになりつつある最新のスマートホーム規格に対応していないルーターでは、将来的に大きな制約を受けることになります。

各規格の役割

  • Matter:異なるメーカー間でのデバイス互換性を実現
  • Thread:低消費電力メッシュネットワークを構築
  • Wi-Fi 6E/7:6GHz帯での高速通信を実現

実際の導入事例

私は現在、以下のスマートホーム機器を使用しています:

  • Philips Hue(照明)
  • Nest Thermostat(温度調節)
  • Ring Doorbell(玄関カメラ)
  • Amazon Echo(音声アシスタント)
  • Apple HomePod(音楽再生)

これらを統合管理するためには、Thread境界ルーターと呼ばれる機能が必要ですが、安いルーターにはこの機能がありません。

規格対応による長期的メリット

安定性の向上

  • 従来のハブ集約型:1つのハブが故障すると全体が停止
  • Thread メッシュ型:1台が故障しても他が補完

消費電力の削減

  • Zigbee/Z-Wave:常時電力消費
  • Thread:必要時のみ通信、最大70%省エネ

理由4:イーサネット・USBポートの性能不足

マルチギガビット時代の要求

IPv6通信対応で混雑の少ない高速通信を確保。WANインターフェイスは10Gbpsポートを搭載したルーターが注目されていますが、安いルーターのほとんどは1Gbpsポートまでです。

インターネット速度の進化

  • 2020年:1Gbps光回線が一般的
  • 2023年:2Gbps、5Gbpsプランが普及
  • 2025年:10Gbpsプランも登場

実際の使用例での問題

私の友人がYouTubeクリエイターとして活動していますが、4K動画のアップロードで困っています。彼のインターネット契約は2Gbpsですが、安いルーターのWANポートが1Gbpsのため、本来の半分の速度しか出ません。

アップロード時間の比較

  • 10GB動画ファイル(1Gbps):約80分
  • 10GB動画ファイル(2Gbps):約40分
  • 時間価値:1日2時間の節約 = 月60時間の節約

USB性能の重要性

現代のルーターに求められるUSB機能:

  • NAS機能:外付けHDDでファイル共有
  • プリンタ共有:ネットワークプリンタ化
  • Time Machine:Macのバックアップ

安いルーターのUSB 2.0ポートでは、1TBのバックアップに24時間以上かかりますが、USB 3.1対応なら4時間程度で完了します。

実際の使用例とコスト比較

3年間の総コスト比較

格安ルーター(5,000円)の場合

  • 初期費用:5,000円
  • 1年半後買い替え:8,000円
  • 3年後再買い替え:12,000円
  • 合計:25,000円

中級ルーター(15,000円)の場合

  • 初期費用:15,000円
  • 合計:15,000円

差額:10,000円

機能差による影響

時間的コスト

  • 再設定作業:2回 × 2時間 = 4時間
  • トラブルシューティング:月1時間 × 36ヶ月 = 36時間
  • 合計40時間(時給2,000円換算で8万円相当)

機会損失

  • 在宅勤務での通信トラブル:月2回 × 30分 = 年12時間
  • 動画配信の品質低下:フォロワー減少
  • オンラインゲームでの不利:ランキング下降

私の推奨する選び方

予算別おすすめカテゴリ

エントリー層(予算8,000〜15,000円)

  • Wi-Fi 6対応
  • 最低3年のサポート保証
  • WPA3対応必須

ミドル層(予算15,000〜30,000円)

  • Wi-Fi 6E対応
  • Thread境界ルーター機能
  • 2.5Gbps WANポート

ハイエンド層(予算30,000円以上)

  • Wi-Fi 7対応
  • 10Gbps WANポート
  • メッシュ機能内蔵

購入前チェックリスト

必須項目

  • サポート期間の確認
  • セキュリティプロトコル(WPA3必須)
  • 最大同時接続台数
  • ファームウェア更新頻度

推奨項目

  • Matter/Thread対応
  • メッシュ機能
  • 6GHz帯対応
  • 2.5Gbps以上のWANポート

まとめ:長期視点での投資が結果的に節約になる

私の移住先での経験から学んだ最も重要な教訓は、「安いものを2回買うより、良いものを1回買う方が結果的に安い」ということです。

重要なポイントの再確認

  1. セキュリティリスク:古いルーターは常に攻撃の標的となり、被害額は計り知れない
  2. 性能不足による早期買い替え:1〜2年での買い替えは結果的に高コストに
  3. スマートホーム対応の重要性:Matter/Thread対応は今後5年間の標準に
  4. 有線性能の見落とし:マルチギガビット時代に1Gbpsポートでは力不足

最終的な推奨事項

最低限の投資ライン:15,000円 これより安いルーターは、長期的に見てコスト高になるリスクが高いです。

理想的な投資ライン:25,000〜30,000円 この価格帯であれば、3〜5年間は安心して使用できる性能と機能を備えています。

プロフェッショナル向け:40,000円以上 業務利用やヘビーユーザーには、この価格帯の投資が長期的に最もコストパフォーマンスが高くなります。

最後に

ルーターは現代の家庭におけるデジタルライフの基盤です。電気や水道と同様に、重要なインフラと考えて適切な投資を行うことが、結果的に最も経済的で快適な選択となります。

私が移住先で犯した過ちを繰り返さないよう、この記事が皆さんの適切なルーター選びの参考になれば幸いです。安さに惑わされず、長期的な視点での判断を心がけてください。