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ROG Ally Xは魅力的だが、Steam Deck OLEDが優れる4つのポイント

最近のポータブルゲーミングPCの進化には目を見張るものがありますね。今日は、現在市場で最も注目されている2つの製品、「ROG Ally X」と「Steam Deck OLED」を徹底比較してみたいと思います。

私自身、両方のデバイスを数ヶ月間使い込んできた経験から、単純なスペック比較では見えてこない実用面での違いについてお話しします。結論からいうと、ROG Ally Xはパワフルで多機能ですが、実際の使い勝手では意外にもSteam Deck OLEDが優れている部分が多いのです。

では、なぜSteam Deck OLEDが日常使いで優れているのか、4つの重要なポイントについて深掘りしていきましょう。

1. 使いやすさを極めたSteamOS vs 汎用性のWindows 11

Windows 11の二面性:可能性と課題

ROG Ally Xの最大の特徴であるWindows 11搭載。これは諸刃の剣です。先日、友人の家での集まりにROG Ally Xを持っていった時のことです。「あ、これでエクセルも使えるの?すごいね!」と驚かれました。確かに、Microsoft Office製品からPhotoshopまで、PCソフトが動くのはWindows搭載機ならではの強みです。

Xbox Game Passの全タイトルがサブスクリプションで遊べるのも大きな魅力ですね。私はHalo Infiniteを外出先でプレイできることに感動しました。

しかし、ここで問題が発生します。Windows 11はタッチスクリーン操作のハンドヘルドデバイス向けに設計されていないのです。実際に使ってみると、以下のような不便さに直面します:

  • オンスクリーンキーボードが使いづらく、パスワード入力だけで一苦労
  • 小さな画面での細かいUIボタン操作が困難
  • 頻繁なWindows更新プログラムによる中断

先週、新幹線の中でゲームを始めようとしたときのことです。突然Windows Updateが始まり、30分近く待たされました。その間、隣に座っていた方はSwitch一台でサクサクとゲームを楽しんでいました…苦い思い出です。

SteamOSの洗練された専用設計

一方、Steam Deck OLEDのSteamOSは、まさにポータブルゲーミングPCでのゲーム体験のために最適化されています。初めて電源を入れたときの印象は「あ、これはコンソール機だ」という感覚。メニューの操作性がNintendo Switchに近い直感的なものなんです。

アップデートも簡単で、設定メニューからワンタッチで実行できます。そして何より素晴らしいのは、ほとんどのゲームがクラッシュせずに動作する安定性です。昨日、Steam Deck OLEDでElden Ringを3時間プレイしましたが、一度もフリーズせずスムーズでした。

Asusは「Armory Crate SE」というアプリでWindows 11の扱いづらさを軽減しようとしていますが、根本的な解決には至っていません。Windows自体が抱える問題は、いくら優れたオーバーレイアプリを作っても完全には解消できないのです。

2. スリープモードの重要性:すぐに再開できる安心感

ROG Ally Xのスリープモード問題

ポータブルゲーミングPCゲーム機の大きな魅力は「ちょっとした空き時間にサッとプレイできる」点にあります。そのためには、スリープモードからの素早い復帰が不可欠です。

先月、待合室で診察を待っている間にROG Ally Xでサイバーパンク2077をプレイしていました。名前を呼ばれたので急いでスリープモードにして診察室へ。20分後に戻ってきてゲームを再開しようとしたところ…なんとゲームがクラッシュしていたのです!折角進めていたミッションをやり直すハメになりました。

これはROG Ally Xの大きな弱点です。電源ボタンをタップして「休止状態」にしても、以下のような問題が頻発します:

  • ゲームの再開に失敗することが多い
  • 休止状態でもバッテリーが急速に消費される
  • 再起動の度にWindows画面ロックを解除する必要がある

特に最後の点は地味にストレスです。たった数分の休憩のためにいちいちパスワードやPINを入力するのは手間です。

Steam Deck OLEDの理想的なスリープ機能

対照的に、Steam Deck OLEDのスリープモードは、まさにNintendo Switchのように完璧に機能します。電源ボタンを押せば即座にスリープし、再び押せばほぼ瞬時に元の状態に戻ります。

通勤電車での体験ですが、駅に着くたびにSteam Deck OLEDをスリープさせ、次の電車内で再開するという使い方を繰り返しても、一度もゲームがクラッシュすることなく、バッテリーもほとんど減りませんでした。

この違いは、ポータブルゲーミングPCの実用性において決定的です。短時間のゲームセッションが多い方には、Steam Deck OLEDの方が圧倒的に使いやすいでしょう。

3. バッテリー持続時間:実用性を左右する重要要素

ROG Ally Xのバッテリー問題

スペック表だけ見ると、ROG Ally Xのバッテリー容量(80Whr)はSteam Deck OLED(50Whr)よりも大きいです。しかし、実際の使用時間では逆転現象が起きます。

先日の出張時、同じ条件(明るさ50%、Wi-Fi接続)で両方のデバイスを使い比べました:

  • ROG Ally X:Hollow Knightを約3時間30分プレイ可能
  • Steam Deck OLED:同じくHollow Knightを約5時間プレイ可能

この差は何から来るのでしょうか?主に以下の要因が考えられます:

  1. Ryzen Z1 Extremeプロセッサーは高性能ながら電力消費も大きい
  2. Windows 11自体がバックグラウンドで多くのリソースを消費している
  3. Steam Deck OLEDのHDRディスプレイがエネルギー効率に優れている

特に軽めのインディーゲームをプレイする際に、この差が顕著です。「Hades」や「Stardew Valley」などのタイトルでは、Steam Deck OLEDが明らかに長持ちします。

長時間プレイの安心感

実際、3時間のフライト中に映画を観たあとでも、Steam Deck OLEDならまだゲームを楽しめる余裕がありました。一方、ROG Ally Xでは残りバッテリーに神経を使う必要があります。

もちろん、両方とも外出時には小型のモバイルバッテリーを持ち歩くことをおすすめしますが、Steam Deck OLEDならその必要性が少し低くなるのは確かです。

4. ハードウェア品質と快適性:長時間の使用感

触れば分かる品質差

ROG Ally Xのスペックは素晴らしいですが、実際に手に取って使うと、ハードウェアの質感で少し気になる点があります。

まず、本体プラスチックの質感が少し安っぽく感じられます。私の個体は数ヶ月使っただけでコントローラー部分に光沢が出てきました。また、ボタンのクリック感もやや浅く、長時間のプレイでは少し疲れを感じます。

背面グリップも人間工学的に最適とは言えません。特に2時間以上の長時間セッションでは手が疲れやすいと感じました。私はdbrandのKillswitchケースを装着することでこの問題を緩和していますが、それでも完璧ではありません。

Steam Deck OLEDの洗練された設計

一方、Steam Deck OLEDは見た目のゴツさとは裏腹に、実際に持つと驚くほど馴染みます。背面のグリップ形状が手のひらにフィットし、重量(約670g)も分散して感じられます。

コントローラー部分のボタンやスティックの感触も上質で、特にトリガーボタンの押し心地は市販のゲームパッドに劣りません。先日8時間のマラソンセッションでElden Ringをプレイしましたが、手の疲労は最小限でした。

トラックパッドの存在も、Windows搭載のROG Ally Xでは欲しかった機能です。ブラウザやデスクトップモードでの操作が格段に楽になります。

ゲームパフォーマンスとライブラリの互換性

スペック面ではROG Ally Xが優位ですが、実際のゲームプレイにおけるパフォーマンスは意外と僅差です。

最新のAAA級タイトルでは確かにROG Ally Xが有利です。「サイバーパンク2077」や「Starfield」などの重量級ゲームは、ROG Ally Xの方がより高いフレームレートで動作します。しかし、多くのインディーゲームや数年前のAAA級タイトルでは、両者の差はほとんど体感できないほどです。

互換性に関しては、Windows搭載のROG Ally XはほぼすべてのPCゲームが動作する理論上の優位性があります。一方、Steam Deck OLEDはProton互換レイヤーを通じて多くのWindows向けゲームをサポートしていますが、完全ではありません。

ただし、Steam Deckで「Verified」または「Playable」とマークされたゲームは、むしろROG Ally Xよりも安定して動作することが多いのも事実です。これはゲームごとに最適化された設定が自動的に適用されるためです。

価格と価値

価格面でも重要な違いがあります:

  • ROG Ally X:約13万円~14万円
  • Steam Deck OLED:約10万円~12万円(モデルによる)

性能だけで考えればROG Ally Xの方が高スペックですが、総合的な使用感と価格を考慮すると、Steam Deck OLEDの方がコストパフォーマンスに優れていると言えるでしょう。

どちらを選ぶべきか?あなたのゲームライフに合わせて

結局のところ、どちらのデバイスが自分に合っているかは、ゲームの嗜好や使用シーンによって変わってきます。

ROG Ally Xが向いている人:

  • Xbox Game Passのヘビーユーザー
  • PCゲームのライブラリが豊富な方
  • 最新の高性能ゲームを遊びたい方
  • ゲーム以外にもPCとして使いたい方

Steam Deck OLEDが向いている人:

  • Steamのゲームライブラリが豊富な方
  • 外出先でのゲームプレイが多い方
  • 操作性とバッテリー持続時間を重視する方
  • シンプルで安定した体験を求める方

私の実際の使い分け:両デバイスの共存

私の場合、両方のデバイスを状況に応じて使い分けています。自宅でのゲームセッションや高性能を要するゲーム、Xbox Game Passのタイトルを楽しむ際にはROG Ally Xを選びます。しかし、通勤時や旅行中など、外出先でのゲームには必ずSteam Deck OLEDを持参します。

先日の3日間の出張では、ホテルの部屋でROG Ally XでStarfieldを楽しみ、移動中の電車ではSteam Deck OLEDでCeleste(軽量なインディーゲーム)をプレイするという使い分けが完璧にハマりました。それぞれの強みを生かした使い方です。

まとめ:4つの優位点が示す実用的な差

改めて、Steam Deck OLEDがROG Ally Xよりも優れている4つのポイントをまとめます:

  1. ユーザーフレンドリーなOS体験:SteamOSはハンドヘルド向けに最適化されており、直感的な操作と安定性を提供します。Windows 11は汎用性がある反面、ハンドヘルドでの使い勝手に難があります。
  2. 理想的なスリープモード:Steam Deck OLEDは電源ボタン一つでゲームを中断し、瞬時に再開できます。ROG Ally Xではスリープからの復帰時にゲームがクラッシュすることが多く、短時間の利用に支障があります。
  3. 優れたバッテリー持続時間:物理的なバッテリー容量は小さいものの、システム全体の最適化により、Steam Deck OLEDは実使用でより長く持続します。特に軽量なゲームでその差が顕著です。
  4. 高品質な筐体と人間工学的設計:Steam Deck OLEDは握り心地と長時間使用の快適さに優れており、ボタンやスティックの質感も高級感があります。ROG Ally Xはコンパクトながら、長時間の使用で疲労を感じやすい設計です。