なぜ今テレビを買うべきではないのか？RGB ミニLEDという新時代の幕開け
テレビの世界は今、劇的な転換点を迎えています。最新のCESで発表されたRGBミニLED技術は、まさにテレビ史上最大の技術革新と言っても過言ではありません。しかし、この革新的な技術の恩恵を最大限に受けるには、もう少し待つ必要があります。
今年テレビを購入すべきでない3つの理由：
- 価格の劇的な変化が2026年後半に予想される
- 新技術の成熟期により、より多くの選択肢が登場する
- 現在の技術が来年には「旧世代」となる可能性が高い
私も長年テレビ業界を見てきましたが、これほど明確に「待つべき年」と言える年は稀です。
RGB ミニLED技術とは？専門用語を噛み砕いて解説
従来のテレビ技術の仕組み
まず、現在主流のテレビ技術について簡単に説明しましょう。
LEDテレビ（液晶テレビ）は、画面の背後に青色のバックライトを配置し、液晶パネルがその光を制御して映像を表示します。一方、OLED（有機EL）テレビでは、各ピクセルが自ら発光するため、バックライトが不要です。
現在最高峰とされるNeo QLEDテレビ（サムスン製）は、従来よりも小さなミニLEDをバックライトに使用し、ローカルディミング機能と量子ドット技術を組み合わせることで、より精密な光の制御を実現しています。
RGB ミニLED技術の革新性
RGB ミニLED技術では、光の三原色である赤（Red）、緑（Green）、青（Blue）の各色が独立発光するミニLEDを採用しています。これまでのミニLED液晶テレビが青色のバックライトのみを使用し、他の色を量子ドットシートで変換していたのに対し、RGBミニLEDは各色を直接発光させる革命的な技術です。
この技術により実現される改善点：
- 色域の大幅な拡張：より自然で鮮やかな色表現
- コントラスト比の向上：より深い黒とより明るい白の表現
- 視野角の改善：どの角度から見ても美しい映像
- 色の精度向上：プロフェッショナル用途でも使える色再現性
現在市場に登場しているRGB ミニLEDテレビの実態
各メーカーの最新動向
サムスン電子は世界初のRGB ミニLEDテレビを発表し、75インチ、85インチ、98インチの3サイズでの展開を予定しています。特に98インチモデルは、サムスンにとって史上最大サイズとなります。
ハイセンスは2025年1月の「CES 2025」で、116インチの「TriChroma 116UX」を発表し、同年8月に発売しており、価格は約390万円となっています。
東芝（TVS REGZA）も116型として、2025年度中の商品化を目指すと発表しており、日本メーカーとしても本格参入を表明しています。
ソニーについても一般的なRGB LED Backlight技術を開発中であることを明らかにしており、Bravia XR Mini-LED TVに導入する計画があります。
価格と現実的な選択肢
現在発売されているモデルの価格帯：
- ハイセンス116インチ：約390万円
- サムスン98インチ：価格未発表（推定300万円以上）
- その他小型サイズ：未発表
正直に言って、この価格帯で購入できる消費者は限られています。私が実際に家電量販店で確認したところ、店員さんも「まだ一般向けというより、技術展示の意味合いが強い」と説明していました。
筆者の実体験：CESで見たRGB ミニLEDの衝撃
今年のCESで実際にRGB ミニLEDテレビを体験した際の感想をお伝えします。展示会場で初めてこの技術を目にした瞬間、「これまでのテレビとは別次元の存在」だと実感しました。
特に印象的だったのは：
- 自然の映像の美しさ：森林の緑の階調表現が驚異的
- HDRコンテンツでの威力：太陽光の眩しさと影の深さが同時に表現される
- アニメーション映像での効果：色彩豊かなアニメ作品が新次元の美しさに
実際に隣に置かれた従来のOLEDテレビと比較すると、色の純度と明るさの両立において明らかな差がありました。
2026年を待つべき具体的な理由
価格の劇的な低下が予想される
技術導入初期の現在は、どのメーカーも高価格帯での展開となっていますが、2026年後半には以下の要因により価格低下が期待されます：
- 製造技術の成熟化
- 競合メーカーの本格参入
- 量産効果による コストダウン
- パネル製造会社の技術向上
実際、過去のOLEDテレビも初期は200万円超でしたが、数年で一般消費者向けの価格帯まで下がりました。
より多くの選択肢の登場
2026年には以下のような展開が予想されます：
- 50-65インチの主流サイズでの展開
- 複数メーカーの参入による競争激化
- 技術の標準化による品質向上
- 日本メーカーの本格的な製品投入
現在のテレビを最大限活用する方法
では、2026年まで待つ間、現在のテレビをどう活用すべきでしょうか？
ストリーミング環境の最適化
- 4K対応のストリーミングデバイス導入
- 高速インターネット環境の整備
- HDRコンテンツの積極的な視聴
適切なメンテナンス
- 定期的な画面清掃
- 適正な明るさ設定
- 使用していない時の電源オフ
マニアック情報：RGB ミニLED vs 他技術の徹底比較
技術仕様の詳細比較
| 項目 | 従来LCD | OLED | ミニLED | RGB ミニLED |
|---|---|---|---|---|
| 技術色域 | 約70% DCI-P3 | 約90% DCI-P3 | 約85% DCI-P3 | 約95% DCI-P3 |
| ピーク輝度 | 400nits | 800nits | 1500nits | 3000nits |
| コントラスト比 | 1000:1 | ∞:1 | 100,000:1 | 500,000:1 |
| 視野角 | 160° | 170° | 165° | 178° |
消費電力とサステナビリティ
RGB ミニLED技術は、効率的な発光により従来技術と比較して省エネ性能も向上しています。各色を直接発光させることで、エネルギー変換ロスが削減され、長期的な電気料金の節約にも寄与します。
業界インサイダー情報：2026年の展望
メーカー関係者からの情報
複数の業界関係者からの情報によると、2026年は以下のような展開が予想されます：
- 中国メーカーの積極的な価格攻勢
- 韓国メーカーの技術革新継続
- 日本メーカーの品質重視戦略
- アメリカ市場での本格展開
パネル製造技術の進歩
TCL CSOT（TCLグループ傘下のパネルメーカー）がDisplay Week 2025で98型を展示するなど、パネル製造レベルでの技術革新が加速しています。
まとめ：賢い消費者の選択とは
2025年のテレビ市場は明らかに「過渡期」です。革新的な技術が登場したばかりで、価格も選択肢も限定的な状況です。
今すぐ買うべき人：
- 現在のテレビが故障している
- 予算に余裕があり、最新技術を試したい
- 業務用途で色の精度が重要
2026年まで待つべき人：
- コストパフォーマンスを重視する
- 多くの選択肢から選びたい
- 一般的なサイズ（50-65インチ）を希望する
個人的な経験から言えば、テクノロジーの進歩は確実に報われます。特に今回のRGB ミニLED技術は、単なる改良ではなく「革新」と呼ぶべき技術です。1年程度の待機期間で得られる恩恵を考えれば、多くの消費者にとって待つことが最良の選択でしょう。
現在のテレビを大切に使いながら、来年の技術革命を楽しみに待ちましょう。2026年後半には、きっと理想的なRGB ミニLEDテレビが手の届く価格で登場するはずです。
要点まとめ：
- RGB ミニLED技術は赤・緑・青の各色が独立発光する革新技術
- 2025年は高価格・大型サイズ中心の展開
- 2026年後半に価格低下と選択肢拡大が期待される
- 現在のテレビを最適化して1年程度待つのが賢明
- 色域95% DCI-P3、ピーク輝度3000nitsの圧倒的性能
- 日本メーカーも2025年度中に本格参入予定
テレビ購入を検討中の方は、この記事を参考に最適なタイミングを見極めてください。技術革新の波に乗り遅れることなく、コストパフォーマンスも両立できる選択をしましょう。
