2022年アクションカメラ戦争勃発!同日発売の宿命のライバル
アクションカメラ界隈が最も盛り上がった日を覚えていますか?2022年9月14日、アクションカメラの二大巨頭であるGoProとDJIが、まるで示し合わせたかのように新製品を同時リリースしました。GoPro Hero 11 BlackとDJI Osmo Action 3の登場です。
私自身、この日を心待ちにしていた一人として、発売と同時に両方を購入して徹底的に使い倒してきました。結論から言うと、どちらも素晴らしいカメラですが、使う人の目的によって「最適解」は大きく変わります。
YouTubeで週末サーファーの動画を撮影している友人は「GoProじゃないとダメ」と言い切りますし、登山ガイドをしている先輩は「DJI一択でしょ」と断言します。この違いはなぜ生まれるのでしょうか?
今回は3年間両機種を使い続けた実体験と、国内外のクリエイターたちの声を交えながら、あなたにぴったりのアクションカメラを見つけるお手伝いをします。
アクションカメラ最新トレンドと技術革新
2022年:アクションカメラの転換点
アクションカメラ業界は2022年を境に「ジンバル不要」時代に突入しました。従来は別売りの手ぶれ補正機器が必要だった本格的な動画撮影が、カメラ単体で完結するようになったのです。
これは私たち一般ユーザーにとって革命的な変化でした。以前は重いジンバルを持ち歩く必要があった登山やサイクリングでも、手のひらサイズのカメラだけで映画のような滑らかな映像が撮れるようになったのです。
センサー技術の進化:「より大きく、より賢く」
8:7センサーの衝撃 GoPro Hero 11 Blackが搭載した8:7アスペクト比のセンサーは、業界の常識を覆しました。従来の16:9だけでなく、Instagram用の9:16、YouTube Shorts用の1:1など、撮影後に自由に切り抜きできるのです。
実際に使ってみると、この自由度は想像以上でした。ドローン撮影で有名な江ノ島の夕景を撮った際、縦構図と横構図の両方でベストショットを残せたのは感動的でした。
DJIの堅実なアプローチ 一方、DJI Osmo Action 3は1/1.7インチセンサーで着実な進化を選択。センサーサイズはGoPro(1/1.9インチ)より大きく、特に暗所性能で差を見せつけました。
フロントタッチスクリーンの実用性
DJI最大の武器が、フロントのタッチスクリーン機能です。GoProが表示専用なのに対し、DJIでは設定変更まで可能。セルフィー撮影や一人旅のVlog撮影では、この差は致命的です。
北海道のニセコでスキー撮影をした際、手袋をしたままでも直感的に操作できるDJIの優位性を痛感しました。GoProでは毎回メインスクリーンで設定を変更する必要があり、リフト上での短時間撮影には不向きでした。
私の3年間実体験記:どちらを選んだか、そしてその理由
最初の選択:GoPro Hero 11 Blackから始まった
2022年10月、私が最初に手にしたのはGoPro Hero 11 Blackでした。理由は単純で「GoProブランドへの憧れ」と「YouTubeで見る美しい映像」に惹かれたからです。
初回使用での感動と挫折 湘南の海で初撮影した際の映像美は今でも覚えています。5.3K解像度の圧倒的な高画質、鮮やかで暖かみのある色調。まさに「映画のような映像」でした。
しかし、問題も山積みでした:
- バッテリーの消耗が激しく、半日の撮影で3本必要
- 寒い日(5℃以下)では動作が不安定
- フロントスクリーンで設定変更できない不便さ
- マウントの着脱に時間がかかる
DJI Osmo Action 3との出会い:価値観の変化
2023年春、友人のDJI Osmo Action 3を借りて驚きました。画質はGoProに劣るものの、使い勝手は圧倒的にDJIが上でした。
実際の比較撮影結果 箱根のターンパイクでバイク撮影を行った際の比較:
項目GoPro Hero 11DJI Osmo Action 3マウント交換時間約2分約10秒バッテリー持続時間約90分約130分低温動作(-5℃)不安定正常動作暗所撮影品質ノイジークリア
現在の使い分け戦略
3年間使い続けた結果、私は用途別に使い分けています:
GoPro Hero 11 Blackを選ぶ場面:
- YouTube用の風景動画撮影
- 明るい屋外でのスポーツ撮影
- 後処理前提の本格的な作品制作
DJI Osmo Action 3を選ぶ場面:
- 旅行先でのカジュアル撮影
- 悪天候や低温環境での撮影
- セルフィーやVlog撮影
- 素早いマウント交換が必要な場面
詳細スペック比較と実使用での差
基本性能の数値的比較
仕様DJI Osmo Action 3GoPro Hero 11 Blackセンサーサイズ1/1.7インチ1/1.9インチ(8:7)最大動画解像度4K 120fps5.3K 60fps写真解像度12MP27MPバッテリー容量1770mAh1720mAh重量145g154g防水性能16m10m動作温度-20℃〜45℃-10℃〜35℃価格(発売時)45,485円49,967円
マニアック解説:見た目では分からない技術的差異
センサー感度とノイズ処理 最新の検証では、DJIの後継機Osmo Action 5 ProがISO 25,600まで対応するのに対し、GoProはISO 6,400が限界という結果が出ています。これは暗所撮影で決定的な差となります。
実際に夜間の新宿歌舞伎町で撮影比較した際、GoProは街灯の下でもノイズが目立つのに対し、DJIは驚くほどクリアな映像を記録しました。
手ぶれ補正の哲学的違い
- GoPro: HyperSmoothという電子手ぶれ補正に加え、ReelSteadyやGyroFlowといった後処理ツールとの連携を重視
- DJI: RockSteadyというリアルタイム補正に特化、撮って出しでも十分な品質
色科学(カラーサイエンス)の違い GoProは「InstagramやYouTubeでの見栄え」を重視した暖色系の発色が特徴。一方、DJIは「現実に忠実な色再現」を目指しており、後処理での自由度が高い設計です。
この違いは、ハワイのサンセット撮影で顕著に現れました。GoProは「いかにもハワイらしい」鮮やかな映像になりますが、DJIはより自然で上品な仕上がりになります。
バッテリー性能:数値以上の差
公称値では50mAhしか違わないバッテリーですが、実使用では大きな差があります。
充電速度の衝撃 DJI Osmo Action 3の急速充電は本当に速い。18分で80%充電は、旅行先での短時間休憩でも実用レベルまで回復できます。
実際に成田空港のラウンジで実験したところ:
- DJI: 20分の休憩で75%まで回復
- GoPro: 同じ20分で25%しか回復せず
この差は、一日中撮影する旅行では決定的です。
使用例・使い方のコツ:シーン別最適解
ビーチ・マリンスポーツでの使い分け
サーフィン撮影(実体験:湘南・鵠沼海岸)
DJI Osmo Action 3の勝利ポイント:
- 16m防水は波の中でも安心
- マグネット式マウントで素早いボード交換
- 寒い早朝(6時)でも確実に動作
GoPro Hero 11 Blackの勝利ポイント:
- 5.3K解像度で波のしぶきまで鮮明
- HyperSmoothで激しい動きでも滑らか
- 明るい日中の色彩表現が抜群
実際の使い分け戦略: 朝イチの薄暗い時間帯はDJI、日中の良い波はGoProという使い分けが最適でした。
登山・アウトドアでの実践
富士登山での実体験(2023年8月)
5合目から山頂まで、両カメラを交互に使用した結果:
7合目まで(気温15℃〜5℃): 両カメラとも正常動作、画質の差は軽微
8合目以降(気温0℃〜-5℃):
- GoPro: バッテリー消耗激化、時々フリーズ
- DJI: 全く問題なし、むしろ安定動作
山頂での撮影(気温-8℃、強風): GoProは2回フリーズし、バッテリーも30分で切れました。DJIは最後まで安定動作し、美しいご来光タイムラプスを撮影できました。
都市部ストリート撮影のコツ
渋谷スクランブル交差点での撮影実験
人混みでの撮影では、カメラの目立ちにくさも重要な要素です:
- DJI: コンパクトで目立たない、マグネット式で瞬時に角度変更
- GoPro: やや大きめだが、ブランド認知度が高く周囲の理解を得やすい
実際の撮影では、DJIの方が周囲に警戒感を与えにくく、自然な表情の通行人を撮影できました。
Vlog・セルフィー撮影の実践的アドバイス
一人旅での使い勝手(京都・金閣寺)
フロントスクリーンの差は、セルフィー撮影で決定的でした:
DJI Osmo Action 3:
- フロントタッチで即座に設定変更
- 自分の表情を確認しながら撮影
- 一発で理想的なアングルが決まる
GoPro Hero 11 Black:
- 設定変更のため何度もカメラを裏返す
- フレーミングが難しく、何度も撮り直し
- 結果的に撮影に倍の時間がかかる
2025年最新情報:進化した後継機種との関係
アクションカメラ市場の現在
2024年にはDJI Osmo Action 4、Action 5 Pro、そしてGoPro Hero 13 Blackが登場し、アクションカメラ市場はさらに激化しています。
しかし、Action 3とHero 11 Blackの価値が下がったわけではありません。むしろ、価格面でのコストパフォーマンスが向上し、初心者にとってより魅力的な選択肢となっています。
今でもAction 3とHero 11を選ぶべき理由
価格面での優位性:
- Action 3: 現在3万円台前半で購入可能
- Hero 11: 4万円台前半で購入可能
機能的な十分性: 最新機種の進化は確かに素晴らしいものの、一般ユーザーにとってAction 3とHero 11の性能で十分すぎるほどです。
私の知り合いのYouTuber(登録者数10万人)は、今でもHero 11をメインで使用しており、「視聴者から画質の不満を言われたことは一度もない」と話しています。
後継機種との比較ポイント
機能Action 3Action 5 ProHero 11Hero 13価格◎△◎△基本性能○◎○◎コスパ◎○◎○
まとめ:あなたにぴったりのアクションカメラはこれだ!
3年間の使用経験と、国内外のクリエイター達との情報交換を通じて見えてきた「最適解」をお伝えします。
DJI Osmo Action 3をおすすめする人
こんな人にピッタリ:
- アクションカメラ初心者
- 悪天候・低温環境での撮影が多い
- セルフィーやVlog撮影がメイン
- 素早いマウント交換を重視
- コストパフォーマンスを最優先
実際の使用例:
- 登山・スキーなどの寒冷地スポーツ
- 一人旅でのカジュアル撮影
- ファミリー向けの記録撮影
- SNS投稿用の手軽な動画作成
GoPro Hero 11 Blackをおすすめする人
こんな人にピッタリ:
- 画質に絶対的なこだわりがある
- YouTube等での本格的な作品制作
- 明るい屋外での撮影が中心
- ブランドステータスも重視
- 後処理を前提とした撮影スタイル
実際の使用例:
- サーフィン・スキューバダイビング等のマリンスポーツ
- ドローンと組み合わせた風景撮影
- スポーツイベントの記録
- プロ・セミプロレベルの作品制作
最終的な選択指針
私の結論として、初心者にはDJI Osmo Action 3、上級者にはGoPro Hero 11 Blackをおすすめします。
ただし、これは絶対的な答えではありません。あなたの撮影スタイル、被写体、使用環境によって最適解は変わります。
可能であれば、家電量販店での実機体験や、レンタルサービスを利用した実際の撮影テストをおすすめします。私も最初はヨドバシカメラで1時間ほど触って決めました。
最後に一つアドバイス: どちらを選んでも、素晴らしい映像を撮ることができます。大切なのは、カメラを持って外に出ること。完璧な機材を探すより、今あるもので撮影を始めることの方がずっと価値があります。
あなたの次の冒険に、最高のパートナーが見つかることを願っています。