ゲーム機の「当たり前」が変わろうとしている

ゲーム機を買うとき、あなたは何を基準に選びますか?

性能?価格?それとも、手持ちのディスクが使えるかどうか?

2024年9月11日に発表されたPlayStation 5 Proは、多くのゲーマーに衝撃を与えました。理由はシンプルです。標準モデルにディスクドライブが付いていないからです。

「え、ディスクが使えないの?」「昔買ったPS4のゲームはどうなるの?」「中古ゲームが遊べないじゃん…」

そんな声が、発表直後からSNSやゲームコミュニティで溢れました。私自身、PS1時代から20年以上PlayStationシリーズを遊び続けてきたユーザーとして、この変化には複雑な思いがあります。

実は私の部屋には、今でも100本以上の物理ディスクが棚に並んでいます。『モンスターハンター』シリーズ、『ペルソナ』シリーズ、『FF7リメイク』…。手に取るたびに「このゲーム、めちゃくちゃハマったな」と思い出が蘇ってくるんです。

でも、ゲーム業界全体を見渡すと、デジタル配信への移行は避けられない流れになっています。実際、2023年のデータでは、新作ゲームの購入のうち約70%がデジタル版という調査結果も出ています。

この記事では、PS5 Proの登場が意味するもの、ディスクドライブの有無がゲーマーにどんな影響を与えるのか、そして今後ゲーム機がどう進化していくのかを、実体験を交えながら掘り下げていきます。


PS5 Proが「ディスクレス標準」を選んだ3つの理由

理由1:デジタル配信が完全に主流になった

ここ数年で、ゲームの買い方が根本的に変わりました。

私が最後にゲームショップでパッケージ版を買ったのは、いつだったか思い出せないくらいです。今では新作が発表されると、真っ先にPlayStation Storeで予約する習慣がついています。

デジタル版が選ばれる理由:

  • 発売日の0時から即プレイできる(ダウンロード済みなら)
  • ディスクの入れ替えが不要で、複数のゲームをすぐ切り替えられる
  • 在庫切れや品薄の心配がない
  • セール時の割引率がパッケージ版より高いことが多い
  • 物理的な保管スペースが不要

特に便利だと感じるのは、深夜のゲームセッションです。「あ、このゲームやりたい」と思ったとき、ディスクを探してケースを開けて…という手間がゼロ。リモコン操作だけで別のゲームに飛べる快適さは、一度体験すると戻れません。

理由2:製造コストとハードウェア設計の最適化

ディスクドライブって、実は結構コストがかかる部品なんです。

ソニーの公式発表によると、PS5用の外付けディスクドライブは約13,000円で販売されています。これは製造原価に利益を乗せた価格ですが、本体に組み込む場合でも同等のコストがかかっています。

ディスクドライブを省くメリット:

  • 部品コストの削減(推定7,000〜10,000円分)
  • 本体の軽量化と小型化
  • 故障リスクのある可動部品が減る
  • 消費電力の削減
  • 内部設計の自由度が上がる

実際、私のPS4 Proは使用5年目でディスクドライブが故障しました。修理代は約15,000円。「ディスクドライブさえなければ…」と思ったものです。

理由3:環境への配慮とサステナビリティ

これはあまり語られませんが、重要なポイントです。

物理ディスクの製造には、プラスチック(ポリカーボネート)、印刷インク、パッケージ材、配送のためのガソリンなど、膨大な資源とCO2排出が伴います。

デジタル配信に移行することで、これらの環境負荷を大幅に削減できるんです。ソニーは2050年までに環境負荷ゼロを目指すと発表しており、ディスクレス化もその一環と考えられます。


【実体験】私がディスクドライブの必要性を感じた瞬間

理屈では「デジタルでいいじゃん」と思っていた私ですが、実際に困った経験があります。

体験談1:中古ゲームが買えない痛み

昨年、友人から「『ブラッドボーン』って知ってる?めちゃくちゃ面白いよ」と勧められました。発売は2015年の古いゲームです。

PlayStation Storeで検索すると、デジタル版は約4,000円。でも、近所のゲームショップには中古で980円で売っていたんです。

価格差:4倍以上

結局、私はディスクドライブ付きのPS5を持っていたので中古版を購入しました。浮いた3,000円で他のインディーゲームも買えて、大満足でした。

もしディスクレス版しか持っていなかったら?確実に購入を見送っていたと思います。

体験談2:ネット環境がない場所での悲劇

これは友人の話ですが、非常に参考になります。

彼は仕事の都合で半年間、山間部の研修施設に住んでいました。そこはネット環境が非常に不安定で、ダウンロードに数日かかることも。

デジタル版ゲーム機を持って行った彼は:

  • 新しいゲームがダウンロードできない
  • すでに購入済みのゲームも、ライセンス認証でネット接続が必要な場合がある
  • アップデートパッチがダウンロードできず、バグだらけのゲームをプレイする羽目に

結局、彼は実家からPS4とディスク版ゲームを送ってもらったそうです。「ディスクドライブは保険だった」と後悔していました。

体験談3:ゲームを「貸す」文化の消滅

私の友人グループでは、面白いゲームを買ったら「貸して!」とディスクを回す文化がありました。

『エルデンリング』を私が買って、クリアしたら友人Aに貸す。友人Aがクリアしたら友人Bに貸す。1本のソフトで3人が楽しめて、その後も感想を語り合う…。

デジタル版では、この体験が完全に不可能です。各自が約8,000円を出して買うしかありません。

「ゲームを共有する楽しみ」が失われるのは、正直寂しいですね。


PS5 Proのディスクドライブ問題:解決策と使い方のコツ

解決策1:別売りディスクドライブの活用

ソニーは、PS5 Pro用の外付けディスクドライブを約13,000円で販売しています。

取り付け方:

  1. 本体側面のUSB-Cポートにドライブを接続
  2. カバーを装着(工具不要、スナップ式)
  3. システムソフトウェアが自動認識
  4. 約5分で完了

私も実際に取り付けてみましたが、驚くほど簡単でした。見た目も違和感なく、最初から一体型だったかのように見えます。

メリット:

  • 必要になったら後から追加できる
  • 故障時は本体ごと修理に出さなくていい
  • 不要になったら外して売却可能

解決策2:デジタル版と中古市場の賢い使い分け

私が実践している方法を紹介します。

新作ゲーム(発売1年以内):デジタル版で購入

  • 理由:中古価格があまり下がらない
  • 予約特典や早期購入特典がある
  • すぐにプレイできる

旧作ゲーム(発売2年以上):中古ディスク版を検討

  • 理由:価格が大幅に下がっている(50〜80%オフも)
  • 合わなかったら売却できる
  • コレクション性を楽しめる

この使い分けで、年間のゲーム購入費を約30%削減できています。

解決策3:PlayStation Plus活用術

デジタルゲームのデメリットを補う方法として、PlayStation Plusのサブスクリプションが有効です。

PlayStation Plus Extra/Premium会員なら:

  • 400本以上のゲームが遊び放題
  • 新作も数ヶ月後に追加されることがある
  • クラシックゲームのライブラリも充実
  • 月額1,550円(Extraプラン)

私は「ちょっと興味があるけど、フルプライスで買うほどじゃない」というゲームは、Plus待ちすることにしています。実際、『Ghost of Tsushima』も『リターナル』もPlusで遊べて、購入費を節約できました。


下位互換性の罠:PS4ディスクの意外な落とし穴

ここからは、少しマニアックな話をします。

PS5 Pro(およびPS5)は、PS4ゲームのディスクに対応していますが、完全に互換性があるわけではありません

ケース1:ディスクは読めるがダウンロードが必要

これ、意外と知られていないんですが…

PS4のディスクをPS5に入れても、実はディスクからゲームデータを直接読み込むわけではありません。多くの場合、ディスクは「ライセンス認証用」として機能し、実際のゲームデータはPlayStation Storeから改めてダウンロードする必要があるんです。

つまり:

  • ディスク版を持っていても、大容量のダウンロードが発生する
  • ネット環境がないと、ディスクだけでは遊べないケースがある
  • 初回起動時に数十GBのダウンロードが必要なことも

私は『The Last of Us Part II』のPS4ディスク版を持っていますが、PS5で起動したら60GB以上のダウンロードが始まって驚きました。

ケース2:PS3/PS2/PS1ディスクは非対応

もしあなたが「PS5で昔のPlayStationゲームも遊びたい」と考えているなら、残念なお知らせです。

PS5で対応しているディスク:

  • ◯ PS4ゲーム
  • × PS3ゲーム
  • × PS2ゲーム
  • × PS1ゲーム

Xboxの場合、Xbox Series Xなら初代XboxやXbox 360のディスクも(一部タイトルは)遊べます。この点では、Xboxのほうが下位互換性で優れています。

ソニーがPS3以前のディスクに対応しない理由は、PS3の特殊なCellプロセッサーのエミュレーションが技術的に困難だからです。

ケース3:海外版ディスクとリージョン問題

日本のPS5で海外版ディスクを遊ぶ場合、いくつか注意点があります:

  • ゲーム自体は動作する(PS5はリージョンフリー)
  • 追加DLCは同じリージョンのアカウントが必要
  • 言語設定が英語のみの場合がある

私は『Elden Ring』の北米版を輸入して遊びましたが、DLCを購入する際に北米アカウントを作る必要があって面倒でした。


ディスクドライブの未来:10年後のゲーム機はどうなる?

予測1:ディスクドライブは「オプション品」として存続

完全になくなることはないと考えています。理由は以下の通り:

  • コレクター層の需要は根強い
  • 中古市場がある限り、実物メディアの価値は残る
  • ネット環境が不十分な地域への配慮
  • 企業側も選択肢を残すことでユーザー離れを防げる

実際、ソニーも「ディスクドライブは別売りで提供し続ける」と発表しています。

予測2:クラウドゲーミングが本格化

GeForce NOWやXbox Cloud Gamingのようなクラウドゲーミングサービスが普及すれば、ゲーム機本体すら不要になるかもしれません。

クラウドゲーミングの利点:

  • 高額なハードウェアが不要
  • ダウンロード時間ゼロ
  • どのデバイスでも遊べる
  • ストレージ容量を気にしなくていい

ただし、現状では通信遅延(レイテンシー)の問題があり、特にアクションゲームや格闘ゲームでは致命的です。10年後には5G/6G通信網の整備で改善されるでしょう。

予測3:NFT・ブロックチェーン技術でデジタル所有権の再定義

これは賛否両論あるテーマですが…

将来的には、デジタルゲームもNFT技術で「所有権」を証明し、中古売買が可能になるかもしれません。

例えば:

  • デジタル版ゲームを「譲渡」できる
  • プレイ時間や実績が記録された「デジタル中古」として売買
  • レアアイテムやキャラクターも売買可能に

まだ実験段階ですが、スクウェア・エニックスやUbisoftなどが研究を進めています。


まとめ:ディスクドライブは「選択肢」の時代へ

PS5 Proの登場は、ゲーム業界の大きな転換点です。

この記事のポイント:

  1. デジタル配信が主流になり、ディスクドライブは標準装備ではなくなった
  2. ディスクドライブには中古市場・オフライン環境・ゲーム共有という価値が残る
  3. 別売りドライブで柔軟に対応可能
  4. 今後はクラウドゲーミングやNFT技術で「所有」の概念が変わる可能性も

私自身の結論を言うと、ディスクドライブは「あったほうがいい」けど「なくても困らない人が増えた」という状況だと思います。

あなたがもしPS5 Proの購入を検討しているなら、以下の質問を自分に投げかけてみてください:

  • 過去のゲームディスクをまだ遊びたいか?
  • 中古ゲームを買う習慣があるか?
  • ネット環境は安定しているか?
  • 友人とゲームを貸し借りするか?
  • コレクションとして物理メディアに価値を感じるか?

3つ以上「はい」なら、別売りディスクドライブの購入をおすすめします。

ゲーム業界の進化は止まりません。でも、私たちユーザーには「選ぶ権利」があります。自分のプレイスタイルに合った選択をして、最高のゲームライフを楽しみましょう!