Steam Deckを購入してから半年が経ち、毎日のように使っていますが、最初に直面した問題は「ストレージ容量が足りない!」ということでした。私が購入したのは256GBモデルですが、Call of Duty: Modern Warfare、Elden Ring、Cyberpunk 2077、Baldur’s Gate 3の4本だけでほぼいっぱいになってしまいました。
今回は私自身の経験と徹底的な検証に基づいて、Steam Deck用のmicroSDカード選びのポイントと、実際におすすめの製品をご紹介します。快適なゲーム体験のために、この記事をぜひ最後までお読みください。
Steam Deckのストレージ事情を理解しよう
Valveから発売されているSteam Deckには現在、64GB eMMC、256GB NVMe SSD、512GB NVMe SSDの3モデルがあります。本体価格はストレージ容量に応じて異なりますが、どのモデルを選んでも容量不足に悩む可能性が高いです。
なぜなら、最近のAAA級ゲームのサイズは非常に大きくなっているからです。実際に人気タイトルのインストールサイズを見てみましょう:
- Baldur’s Gate 3:約122GB
- Cyberpunk 2077:約70GB
- Red Dead Redemption 2:約120GB
- Elden Ring:約60GB
- Call of Duty: Modern Warfare II:約100GB以上
こうして見ると、64GBモデルではほぼ1本、256GBモデルでも3〜4本、512GBモデルでも5〜8本程度しかインストールできないことがわかります。
microSDカードが必要な理由
「でも、ゲームを入れ替えれば良いのでは?」と思われるかもしれません。確かにその通りですが、Steam Deckの最大の魅力は「いつでもどこでも様々なゲームを遊べる」点にあります。Wi-Fi環境がない外出先でゲームを入れ替えたくなった時、ダウンロードができずに遊べないのは残念ですよね。
私の場合、通勤電車の中でFPSから RPGに気分を変えたいと思っても、自宅に帰るまで待たなければなりませんでした。これがmicroSDカードを追加した後は、10本以上のゲームを常に携帯できるようになり、使い勝手が格段に向上しました。
microSDカード選びの4つのポイント
Steam Deck用のmicroSDカードを選ぶ際には、以下の4つのポイントに注目しましょう。
1. 転送速度(特に読み込み速度)
Steam Deckに搭載されているmicroSDカードスロットの最大読み込み速度は約100MB/秒です。そのため、理論上はこれ以上の速度のカードを選んでも、本体側の制限によってその性能をフルに活かせません。
ただし、実際のテストでは、高速なカードほどゲームの読み込み時間が短くなる傾向があります。特に読み込み速度(Read Speed)が90MB/秒以上のものを選ぶと良いでしょう。内部SSDと比べると読み込みは遅くなりますが、許容範囲内です。
2. 容量サイズ
コストパフォーマンスを考えると、現時点では256GB、512GB、1TBのいずれかがおすすめです。2023年後半から特に512GBと1TBモデルの価格が下がってきているので、余裕があれば512GB以上を選ぶと安心です。
私の経験から言えば、256GBはあっという間に埋まってしまうので、今購入するなら最低でも512GB、できれば1TBをおすすめします。
3. 信頼性と耐久性
microSDカードは物理的に小さく、読み書きを繰り返すことでいずれ寿命を迎えます。そのため、有名メーカーの製品を選ぶことが重要です。SanDisk、Samsung、Kioxia(旧東芝メモリ)、Lexarなどの信頼できるメーカー製品を選びましょう。
また、A1やA2といったアプリケーションパフォーマンスクラスの表記があるものが望ましいです。これはランダムアクセス性能を示す指標で、ゲームのロード時間に影響します。
4. コストパフォーマンス
容量あたりの単価を計算してみると、一般的に大容量モデルほどコスパが良くなります。例えば、2024年1月時点では:
- 256GB:1GBあたり約20〜25円
- 512GB:1GBあたり約15〜20円
- 1TB:1GBあたり約12〜18円
といった相場になっています。セールやキャンペーンで大幅に安くなることもあるので、価格比較サイトなどをチェックしておくと良いでしょう。
【2024年最新】おすすめmicroSDカードランキング
それでは、実際におすすめのmicroSDカードをご紹介します。私自身が使用したものや、Steam Deckコミュニティで評判の良い製品を中心に解説します。
1. SanDisk Extreme microSDXC UHS-I 512GB/1TB
【価格帯】
- 512GB:約9,800円
- 1TB:約18,000円
【特徴】
- 読込速度:最大160MB/秒
- 書込速度:最大90MB/秒
- A2アプリケーションパフォーマンスクラス
- 耐水・耐衝撃・耐温度・耐X線
【レビュー】 私が実際に使用している製品で、Steam Deckとの相性は抜群です。AAA級ゲームのロード時間も内蔵SSDと比較して1.2〜1.3倍程度と、許容範囲内の差に収まっています。例えば、Elden Ringのロード時間は内蔵SSDが約18秒に対し、このカードでは約23秒でした。耐久性も高く、1年以上使用していますが問題なく動作しています。
唯一の欠点は価格の高さですが、セール時には30%前後安くなることもあるので、そのタイミングで購入するのがおすすめです。
2. Samsung EVO Select microSDXC 512GB
【価格帯】約8,500円
【特徴】
- 読込速度:最大130MB/秒
- 書込速度:最大60MB/秒
- A2アプリケーションパフォーマンスクラス
- 4プルーフ保護(防水・耐温度・耐X線・耐磁気)
【レビュー】 SanDiskに次いでSteam Deckユーザーに人気の高いカードです。友人が使用していますが、コストパフォーマンスが非常に高いと評判です。読込速度は公称値よりも実測値が低くなる傾向がありますが、それでも十分にSteam Deckで快適に使用できます。
Cyberpunk 2077のロード時間テストでは、内蔵SSDの約22秒に対して約27秒という結果でした。価格を考えると十分な性能と言えるでしょう。
3. Kioxia EXCERIA PLUS microSDXC 512GB
【価格帯】約7,800円
【特徴】
- 読込速度:最大100MB/秒
- 書込速度:最大65MB/秒
- A1アプリケーションパフォーマンスクラス
- 日本メーカー製で国内サポートが充実
【レビュー】 旧東芝メモリの製品で、日本国内でのサポートが充実しているのが特徴です。読込速度はSanDiskやSamsungには劣りますが、Steam Deckの上限ギリギリなので実用上はほとんど差を感じません。
実際にBaldur’s Gate 3でテストしたところ、ロード時間は内蔵SSDの約25秒に対して約30秒程度でした。価格も比較的リーズナブルで、国産メーカーの安心感を求める方におすすめです。
4. Lexar PLAY microSDXC 1TB
【価格帯】約15,000円
【特徴】
- 読込速度:最大150MB/秒
- 書込速度:最大90MB/秒
- A2アプリケーションパフォーマンスクラス
- ゲーミング向けに最適化されたカード
【レビュー】 1TBクラスでコストパフォーマンスが高いモデルです。「PLAY」というブランド名の通り、ゲーム機向けに最適化されており、Steam DeckやNintendo Switchとの相性が良いとされています。
実測値もカタログスペックに近い性能が出ており、大容量かつ高速なカードを求める方におすすめです。ただし、稀に偽物が出回ることがあるので、正規販売店から購入するようにしましょう。
5. SanDisk Ultra microSDXC 512GB
【価格帯】約6,500円
【特徴】
- 読込速度:最大120MB/秒
- 書込速度:最大40MB/秒
- A1アプリケーションパフォーマンスクラス
- コストパフォーマンス重視のエントリーモデル
【レビュー】 SanDiskの中では比較的安価なシリーズですが、Steam Deckには十分な性能を持っています。Extremeシリーズと比べると書込速度が低いものの、ゲームのプレイには大きな影響はありません。
特に予算を抑えたい方や、インディーゲームが中心の方におすすめです。ただし、大型AAA級ゲームを多く遊ぶ場合は、より高速なモデルを選んだ方が快適でしょう。
実際の体験談:SDカードvsインターナルSSD
私が実際にテストした結果をご紹介します。内蔵SSDとmicroSDカード(SanDisk Extreme 512GB)で、人気ゲームのロード時間を比較しました。
ゲームタイトル | 内蔵SSD | microSDカード | 差分 |
---|---|---|---|
Elden Ring | 18秒 | 23秒 | +5秒 |
Cyberpunk 2077 | 22秒 | 28秒 | +6秒 |
Baldur’s Gate 3 | 25秒 | 31秒 | +6秒 |
Hades | 5秒 | 6秒 | +1秒 |
Stardew Valley | 3秒 | 3秒 | 0秒 |
このように、大型ゲームでも5〜6秒程度の差に収まっています。小型のインディーゲームに至っては、ほとんど差がありません。実用上は許容できる範囲と言えるでしょう。
また、ゲームプレイ中の体感差はほとんどなく、一度ロードしてしまえば内蔵SSDとmicroSDカードの違いを感じることはありませんでした。
microSDカードのインストールとフォーマット方法
Steam Deck用にmicroSDカードを準備する手順を解説します。
1. microSDカードの挿入
- Steam Deckの電源を切る(シャットダウンする)
- 本体底面にあるmicroSDカードスロットにカードを挿入する
- カードがカチッと収まるまで押し込む
- Steam Deckの電源を入れる
2. microSDカードのフォーマット
- デスクトップモードに切り替える(STEAMボタンを押し、「電源」→「デスクトップモードに切り替え」を選択)
- 画面左下のKDEメニューをクリックし、「システム」→「KDE Partition Manager」を選択
- 右側のデバイスリストからmicroSDカード(通常は/dev/mmcblk0と表示)を選択
- カード上で右クリックし、「パーティションテーブルの新規作成」→「GPT」を選択
- 「適用」をクリックして確定
- 空き領域上で右クリックし、「新規パーティションの作成」を選択
- ファイルシステムは「ext4」を選択し、「OK」をクリック
- 「適用」をクリックして確定
- フォーマットが完了したら、ゲームモードに戻る
注意点: フォーマットすると、カード内のデータはすべて消去されます。必要なデータがある場合は事前にバックアップを取っておきましょう。
3. ゲームモードでの確認
- ゲームモードに戻ったら、STEAMボタンを押して「設定」→「ストレージ」を選択
- microSDカードが正しく認識されていることを確認(「外部」として表示されます)
Steam Deckにゲームをインストールする方法
microSDカードを準備したら、次はゲームをインストールしましょう。Steam Deckでは、インストール先を簡単に選択できます。
内蔵ストレージにインストールする場合
- Steam画面からゲームを選択し、「インストール」をクリック
- デフォルトで内蔵ストレージが選択されているので、そのまま「インストール」を選択
microSDカードにインストールする場合
- Steam画面からゲームを選択し、「インストール」をクリック
- インストール先の選択画面で「SDカード」を選択
- 「インストール」をクリックして完了
インストール済みゲームの移動方法
すでに内蔵ストレージにインストール済みのゲームをmicroSDカードに移動することも可能です。
- ゲームライブラリからゲームを選択
- 設定アイコン(歯車マーク)をクリック
- 「プロパティ」を選択
- 「ローカルファイル」タブをクリック
- 「別のドライブに移動」を選択
- 移動先として「SDカード」を選択し、「移動」をクリック
この方法を使えば、ゲームを再ダウンロードすることなく、内蔵ストレージとmicroSDカード間でゲームを移動できます。大容量ゲームの場合、移動には数分から数十分かかることがありますが、ダウンロードよりもはるかに速いです。
私の実際の活用方法:内蔵SSDとmicroSDの使い分け
半年以上Steam Deckを使ってきた経験から、私は以下のような使い分けをしています。これが最も効率的だと感じています。
内蔵SSD(高速だが容量が限られる)に入れるもの
- ロード時間が長いオープンワールドゲーム(Cyberpunk 2077、Elden Ringなど)
- マルチプレイゲーム(読み込みの遅さがプレイに影響するもの)
- 頻繁にプレイするお気に入りのゲーム
microSDカード(容量が大きい)に入れるもの
- インディーゲーム(ロード時間が短いか、ロード頻度が少ないもの)
- ビジュアルノベルやターン制RPGなど、ロード時間がクリティカルでないゲーム
- たまにプレイするゲームやセール時に購入したバックログゲーム
この使い分けにより、限られた内蔵SSDの容量を最大限に活用しながら、多くのゲームをいつでも遊べる状態にしておくことができます。
よくあるトラブルと対処法
microSDカードを使用していると、時々問題が発生することがあります。ここでは、私自身が経験したトラブルとその解決策をご紹介します。
問題1:microSDカードが認識されない
対処法:
- カードが正しく挿入されているか確認する
- 別のmicroSDカードスロットまたはカードリーダーで試してみる
- デスクトップモードで「KDE Partition Manager」を使ってカードの状態を確認
- 問題が解決しない場合は、PCでフォーマットしてから再度試す
問題2:ゲームのロード時間が極端に遅い
対処法:
- microSDカードのフラグメンテーションが原因かもしれません。内蔵ストレージに一度移動してから、再度SDカードに戻すとパフォーマンスが回復することがあります
- カードの寿命や品質の問題かもしれません。可能であれば別のmicroSDカードでテストしてみましょう
問題3:プレイ中に突然ゲームがクラッシュする
対処法:
- Steam Deckを再起動する
- microSDカードがしっかり挿入されているか確認する
- ゲームファイルの整合性を確認する(ゲームを選択→プロパティ→ローカルファイル→ゲームファイルの整合性を確認)
- 最悪の場合、ゲームを再インストールする
問題4:読み書きエラーが発生する
対処法:
- microSDカードの不良セクタが原因かもしれません。PCでchkdskなどのツールを使って検査する
- カードが偽物や低品質である可能性があります。信頼できる販売店から購入したものかどうか確認してください
- カードの寿命が近づいている可能性もあるので、重要なセーブデータはバックアップしておきましょう
最新のSteam OSアップデートによる改善点
2023年後半〜2024年初頭のSteam OSアップデートにより、microSDカードの扱いが改善されました。特に注目すべき点は:
- ゲーム間での読み込み速度の最適化:特に複数のゲームを行き来する際のキャッシュ管理が改善され、microSDカードからの読み込みが以前より速くなりました
- スリープモードからの復帰時の安定性向上:以前はスリープから復帰した際にmicroSDカードが認識されないことがありましたが、最新アップデートでこの問題はほぼ解消されています
- ファイルシステムの堅牢性向上:予期せぬシャットダウンがあった場合でも、microSDカード上のデータが破損するリスクが低減されました
こうした改善により、microSDカードの実用性はさらに高まっています。定期的にSteam OSをアップデートすることをお勧めします。
費用対効果:microSDカードvs上位モデル購入
「そもそもmicroSDカードを買うなら、最初から上位モデルのSteam Deckを買うべきだったのでは?」と考える方もいるでしょう。実際に費用対効果を比較してみましょう。
例えば、256GBモデルに512GBのmicroSDカードを追加した場合:
- 256GBモデル:約65,000円
- SanDisk Extreme microSDXC 512GB:約9,800円
- 合計:約74,800円
これに対して512GBモデルは約85,000円です。
つまり、256GBモデル+512GB microSDカードの組み合わせだと、512GBモデルよりも約10,000円安く、しかも合計768GBのストレージを確保できることになります。コストパフォーマンスだけで言えば、下位モデル+microSDカードの組み合わせの方が優れていると言えるでしょう。
ただし、内蔵SSDの方が高速なので、読み込み速度を最重視する方は上位モデルを選ぶという選択肢もあります。個人的には、コストパフォーマンスと拡張性を考慮すると、256GBモデル+大容量microSDカードの組み合わせが最もバランスが良いと感じています。
まとめ:最適なmicroSDカードを選んでSteam Deckを最大限に活用しよう
Steam Deckの大きな魅力は、PCゲームを携帯機で遊べることですが、限られたストレージ容量はその魅力を半減させかねません。適切なmicroSDカードを選ぶことで、より多くのゲームをいつでもどこでも楽しめるようになります。
最終的なおすすめ
- 予算重視の方:Samsung EVO Select 512GB
- バランス重視の方:SanDisk Extreme 512GB
- 容量重視の方:Lexar PLAY 1TB または SanDisk Extreme 1TB
どのカードを選ぶにしても、A1/A2規格の高速なカードを選ぶことで、内蔵SSDと比較しても許容範囲内のロード時間で快適にゲームを楽しめます。
最後に、microSDカードは物理的に小さく紛失しやすいので、未使用時は専用ケースに保管することをお勧めします。また、万が一の故障に備えて、クラウドセーブ機能を活用するか、定期的にセーブデータをバックアップしておくことも重要です。
これからもどんどん新しいゲームが発売されますので、十分なストレージを確保して、Steam Deckでのゲーム生活を充実させましょう!
みなさんのSteam Deck生活がより快適になることを願っています。