「ピピッ……(沈黙)……エラー:カードを認識できませんでした」

今年もまた、この無機質なエラー音と戦う季節がやってきましたね。

2026年の確定申告。領収書の整理も終わった、帳簿もつけた。あとは送信するだけ。

それなのに、まさか入り口の「マイナンバーカード読み取り」で1時間も足止めを食らうなんて。

フリーランスの方や副業戦士、そして医療費控除を頑張る主婦・主夫の皆さん。画面の前で「なんで!?」と叫びたくなっていませんか?

実はこれ、あなただけじゃありません。e-Taxのシステムが年々進化しても、物理的な「カード読み取り」の壁は意外と高いままなんです。

今回は、毎年このトラブルに巻き込まれてきた筆者が、「スマホ読み取りのコツ」から「専用カードリーダー(パソリ等)の導入」まで、泥臭い解決策を徹底解説します。


1. なぜマイナンバーカードはこんなに「読み取れない」のか?

そもそも、SuicaやPASMOは改札で一瞬なのに、なぜマイナンバーカードはこんなに繊細なのでしょうか。

これには、技術的な「規格」と「環境」の2つの理由があります。

繊細すぎる「Type B」という規格

交通系ICカード(FeliCa)は、処理速度が爆速で、多少距離があっても反応します。

一方で、マイナンバーカード(および運転免許証など)は「ISO/IEC 14443 Type B」という、世界標準ですが「しっかり接触させて、通信を安定させる必要がある」規格が使われています。

つまり、「かざす」のではなく「置いて、待つ」姿勢が必要なんです。

読み取りを邪魔する意外な犯人たち

PCやスマホの環境で、以下のようなものが邪魔をしていませんか?

  • 金属製の机: 電波を吸収・反射してしまいます。
  • 分厚いスマホケース: ミリ単位の距離が命取りになります。
  • Bluetoothの干渉: 電子レンジや他のワイヤレス機器が近いと不安定になります。
  • 常駐ソフト: セキュリティソフトが「怪しい通信」と誤認してブロックしていることも。

2. 【想定シーン】e-Tax読み取りエラー「あるある」地獄

ここで、よくある「失敗パターン」を見てみましょう。皆さんもこんな経験、ありませんか?

シーン①:スマホの「位置ズレ」無限ループ

PCで申告書を作って、認証だけスマホ(iPhone/Android)で行う「QRコード認証」モード。

画面に『スマホで読み取ってください』と出たので、カードの上にスマホを置く。

スマホ画面: 「読み取り中……」

私: (頼む、いけっ!)

スマホ画面: 「接続が切れました(エラーコード:MKCZ…)」

私: 「動かしてないのに!」

原因: 多くの人が、スマホの「真ん中」で読み取ろうとします。しかし、iPhoneなら「カメラの横」、Androidなら「FeliCaマークの位置」と、機種ごとにスイートスポットが全然違うのです。

シーン②:安物カードリーダーの「ドライバー不明」問題

「スマホは面倒だから」と、Amazonで見つけた1,500円くらいの激安カードリーダーを購入。

USBに挿せば使えると思いきや……。

PC画面: 「デバイスのセットアップを完了できませんでした」

私: 「えっ、説明書は? ……全部中国語!?」

原因: Windows Updateで自動認識されないチップが使われている場合、怪しいサイトからドライバーを落とす羽目になります。確定申告という個人情報の塊を扱う作業で、これは精神衛生上よくありません。


3. 解決策A:スマホ(iPhone/Android)をリーダーとして使いこなすコツ

追加投資ゼロで乗り切るなら、スマホをリーダーにするのが一番です。ただし、コツがいります。

iPhoneユーザーの「黄金の位置」

iPhoneの上部(カメラのあたり)にNFCアンテナがあります。

  1. マイナンバーカードを机に置く。
  2. iPhoneの「上端」をカードの「写真の顔あたり」に乗せる。
  3. 絶対に動かさない。
  4. 「読み取り完了」と出るまで、息を止めるくらいの気持ちで待つ(5秒以上かかることもあります)。

Androidユーザーの「マーク合わせ」

Androidはおサイフケータイの「FeliCaマーク」が目印ですが、機種によっては背面の真ん中だったり上部だったりします。

  • カバーは外す: これが一番の解決策です。MagSafe対応のリングや分厚い手帳型ケースは、NFCの電波を遮断します。
  • 金属の上に置かない: スチールデスクで作業している人は、分厚い本や雑誌を敷いて、その上で読み取ってください。

PCとの連携トラブル(Bluetooth接続)

以前は「PCとスマホをBluetoothで繋いでリーダーにする」方法がありましたが、接続が切れやすく不評でした。

現在は、PC画面に表示されたQRコードをスマホの「マイナポータルアプリ」で読み取る方式が主流で、かつ安定しています。無理にBluetooth接続しようとせず、QRコード方式を選びましょう。


4. 解決策B:ハードウェアで解決する「ソニー パソリ」vs「格安互換機」

「もうスマホの読み取りエラーでイライラしたくない!」という方は、PCにUSB接続するICカードリーダーを導入しましょう。

ここでは、ド定番の「ソニー パソリ(PaSoRi)」と、ネット通販で買える「格安互換機」を比較します。

比較表:リーダー選びの基準

項目ソニー PaSoRi (RC-S300等)安価な互換機 (ノーブランド)
実勢価格約3,500円〜4,500円約1,500円〜2,500円
セットアップ非常に簡単(自動認識・公式ソフト充実)運次第(CD-ROM付属や手動DLの場合も)
安定性◎(エラーが極めて少ない)△(接触位置にシビアな場合あり)
e-Tax対応公的個人認証サービス適合確認済み対応を謳っているが非公式なものも
安心感絶大そこそこ

① ソニー パソリ(RC-S300 / RC-S380など)

確定申告の時期になると、家電量販店で山積みされる「王道」です。

以前は2,000円台で買えるモデルもありましたが、現在は物価高もあり、新品は4,000円前後が相場です。

  • メリット: とにかく安定しています。「ソフトをインストールして挿すだけ」で動く信頼感は、確定申告のストレスを激減させます。マイナンバーカードだけでなく、交通系ICカードの履歴確認(経費精算)にも使えるので、フリーランスなら元は取れます。
  • デメリット: 以前より少し高くなりました。ただ、時は金なりです。

② 安価な互換機(2,000円前後の機種)

Amazonや楽天で「マイナンバーカード リーダー」と検索すると出てくる、黒や白のシンプルな端末たちです。

  • メリット: とにかく安い。うまくいけばパソリと同じように使えます。
  • デメリット: 商品によっては「挿し込み式(接触型)」があり、ICチップに傷がつかないか心配になることも。また、Mac対応を謳っていてもOSのアップデートで使えなくなるリスクが純正品より高い傾向にあります。
  • 結論: PC操作に自信があり、トラブル対応も自力でできる人なら「あり」。とにかく時間を無駄にしたくない人は「パソリ」一択です。

★ 中級者向けマニアックコラム:謎のエラー「HJS0407E」とブラウザの拡張機能

e-Taxで一番厄介なのは、ハードウェアではなく「ソフトウェア」の相性問題です。

よくあるのが、ChromeやEdgeに入れている「広告ブロック系」の拡張機能や、「翻訳ツール」がe-Taxのスクリプトと喧嘩をするケース。

もし、カードリーダーは正常に光っているのに、ブラウザ上でだけエラーが出る場合、以下の「クリーンな環境」を試してみてください。

  1. ブラウザの「ゲストモード」または「シークレットモード」を使う(ただし、拡張機能が無効になっているか確認が必要)。
  2. マイナポータルアプリ(拡張機能)の再インストール。 意外とこれだけで直ります。
  3. 「JPKI利用者ソフト」のバージョン確認。 公的個人認証サービスのクライアントソフトが古いと、最新のOSで誤作動します。

ちなみに、Macユーザーの方はSafariよりもChrome(Google Chrome)の方が、拡張機能の管理がしやすく、トラブル時の情報も多いのでおすすめです。


5. まとめ:ストレスをお金で買うか、コツで乗り切るか

2026年の確定申告、マイナンバーカードの読み取りトラブルを回避するためのポイントを整理します。

  1. スマホで頑張るなら: ケースを外し、金属デスクを避け、機種ごとの「読み取り位置」をミリ単位で探る。
  2. PC派なら: 安定を求めるならソニー「パソリ」、安さを求めるなら互換機だが、ドライバー導入の手間を覚悟する。
  3. 環境を見直す: ブラウザの拡張機能や常駐ソフトが邪魔をしていないか確認する。

最後に:あなたへの提案

もしあなたが、「毎年この読み取り作業で30分以上イライラしている」なら、今年こそ専用のカードリーダー(特にパソリ等の信頼できるメーカー品)を買ってしまうことを強くおすすめします。

価格にして約4,000円。

これで、毎年の「つながらない!」というストレスと、無駄にする数時間を節約できると考えれば、決して高い投資ではありません。経費にもできますしね。

さあ、サクッと送信を終わらせて、スッキリした気分で春を迎えましょう!


【参考情報・リンク】

  • 公的個人認証サービス ポータルサイト(地方公共団体情報システム機構)
  • 国税庁 確定申告書等作成コーナー よくある質問
  • ソニー株式会社 FeliCaポート/パソリ製品情報

※本記事の情報は2026年1月時点のものです。OSやアプリのバージョンアップにより、操作画面が変更になる可能性があります。